神社や神道に関連する用語は聞き慣れないものが多く、意味をすっと理解できないことがあるかもしれません。参拝に行った際や公式HPをのぞいたときに「案内板や由緒を読んでも内容が入ってこない」という経験をした人も多いのではないのでしょうか。
そこでこの記事では、神社や神道に関連する用語の意味を一覧でわかりやすくご紹介します。よく出てくる単語を五十音で順番に解説するので、困ったときにはぜひ活用してみてくださいね。
神道・神社関連用語集まとめ
あ行
アニミズム
すべてのものに霊魂が宿っているとする思想や信仰のこと。ラテン語の「アニマ(霊魂)」に由来し、19世紀にイギリスの人類学者エドワード・バーネット・タイラーによって広められました。自然物や無生物にも霊的存在を認めるこの考え方は多くの先住民族や古代文化に見られ、日本の神道とも深く関連しています。自然崇拝とも呼ばれます。
天津神(あまつかみ)
日本神話における神々の分類のひとつ。天上界である「高天原(たかまがはら)」に住む神様や、そこから地上に降りてきた神々のこと。
古事記や日本書紀によれば、天津神は高天原から地上界に降りてきて、人々に知識や技術を伝えたとされています。代表的な天津神は、アマテラスやニニギノミコトなどです。
荒御魂(あらみたま)
神道における神様の霊魂のひとつ。荒々しく勇猛な側面を示し、神の力強さや威厳を象徴しています。荒御魂を祀る神社では、特に勝運・開運・厄除けなどのご利益があるとされています。
磐座(いわくら)
アニミズムにおける信仰形態において、神が宿る・神が降臨するとされる岩のこと。岩の大きさはさまざまですが、巨石が多く用いられます。社殿を持たない時代には、祭祀や信仰の中心の場所となっていました。
和歌山県の「花の窟神社(はなのいわやじんじゃ)」のように、現在も磐座信仰が残る神社もあります。
氏神(うじがみ)
日本において、同じ地域に住む人々が共同で祀る神様のこと。もとは血縁関係にある氏族が祀った祖先神や守護神を指していましたが、現在では地域の守護神としての意味合いが強くなっています。氏神を信仰する人々は氏子(うじこ)と呼ばれます。
産土神(うぶすながみ)
神道において、その者が生まれた土地の守護神のことを指します。生まれる前から死んだ後までその人を守護するとされ、他所に移住しても一生を通じて守護してくれると信じられています。産土神は初宮参りや七五三などの際に参拝されることが多く、その土地の神社に祀られています。
絵馬(えま)
祈願や感謝の意を込めて神社や寺院に奉納する、絵が描かれた木製の板です。古代には生きた馬を神に捧げていましたが、次第に絵に描かれた馬が代用されるようになりました。多くの神社では、馬以外にもその神社にゆかりのある動物や縁起物が描かれています。
絵馬の発祥は、京都府の貴船神社とされています。
奥宮(おくみや)
神社の一部で、通常は本宮よりも奥に位置する社殿のことをいいます。「奥社(おくしゃ/おくのやしろ)」や「奥の院(おくのいん)」とも呼ばれ、山頂や山中に位置することが多いです。
奥宮は本宮よりも参拝者が訪れるのが難しい場所にあることがほとんどで、より神聖な場所とされています。
おみくじ
神社や仏閣で引かれる籤(くじ)の一種で、個人の運勢や吉凶を占うために用いられます。おみくじは「御神籤(おみくじ)」や「御仏籤(みくじ)」とも表記され、神様の意志を知る手段とされています。
か行
神楽(かぐら)
神道において神事の一環として行われる歌や舞のことで、神々に奉納する重要な儀式です。神様を招いてその前で行う祭りであり、「神様を祝福する」「神様とともに遊ぶ」などの意味も持っています。
勧請(かんじょう)
神様の分霊を請(しょう)じ、迎えること。離れた場所にいる神や仏に対して、こちらへ来てくれるように祈り願うことを意味します。
神道においては勧請によって総本社に祀られた神様の神霊を分け、全国に同じ名前の神社として祀っています。
禁忌(きんき)
慣習的に避けるべきとされる行為や物事のこと。一般的には「タブー」とも呼ばれ、道徳的、文化的、宗教的な理由で行ってはならないことを意味します。
神道においては、死・病気・血など不浄なものが禁忌とされています。
禁足地(きんそくち)
歴史や宗教的な背景から、一般人の立ち入りが禁止されている場所を指します。伝承や神話に基づき、特定の人々のみが入ることを許される場合もあります。
宮司(ぐうじ)
神社の最高責任者を務める神職のこと。神社の長として、祭祀や社務を管理しています。宮司は各神社に1人しかおらず、宮司を補佐する人は「禰宜(ねぎ)」と呼ばれます。
ちなみに「神主(かんぬし)」とは神職に関わる人のことで、役職の名前ではありません。
国津神(くにつかみ)
日本神話における神々の種類で、主に地上に存在する神様のことをいいます。古代から日本列島に土着していた神様とされ、自然や地域の守り神として崇拝されています。
山・川・海など自然を司る存在とされていることが多く、島根県の出雲大社に祀られているオオクニヌシが代表的です。
境内(けいだい)
神社や寺院の敷地内のこと。神聖な場所としての意味合いが強く、他の土地と区別されています。神社によって境内のつくりはさまざまですが、基本的には鳥居・手水舎・拝殿・本殿などが配置されています。
穢れ(けがれ)
汚れや不浄を意味するものです。神道においては死・病気・血などが穢れとされ、塩をまく・水で洗う・火で焼くなどによって祓います。
御神体(ごしんたい)
神道において神が宿るとされる物体であり、礼拝の対象となるものです。御神体は神そのものではなく、神霊が宿ることで初めて神様になるものとされ、依代(よりしろ)とも呼ばれます。
古代では山岳・巨岩・大木・池などが御神体とされていましたが、時代が進むにつれ鏡・剣・玉・鉾などが用いられるようになりました。
御神木(ごしんぼく)
神道において、特別に神聖視される樹木のことを指します。神社の境内やその周囲に存在することが多く、神様の依り代として崇められているものや、この世と神域の境に結界として立っているものなどがあります。
言霊(ことだま)
言葉に宿る霊的な力や影響のこと。日本では古来より言葉には特別な力があると信じられており、発せられた言葉は現実に影響を与えるとされています。
御幣(ごへい)
神道の祭祀で用いられる神祭用具のひとつ。白色や金色の紙または布を切り、細長い木にはさんで垂らしたものをいいます。
狛犬(こまいぬ)
神社の入口や本殿の前に、一対で設置される獣の像のこと。邪気を祓い、神前を守護する役割を担っています。
向かって右側が口を開けた「阿形(あぎょう)」、左側が口を閉じた「吽形(うんぎょう)」として配置されるのが一般的です。獅子の形状をしたものが多いですが、狐・狼・兎・シーサーの狛犬がある神社もあります。
さ行
祭祀(さいし)
宗教的な背景を持ち、感謝・祈願・鎮魂などの意を込めて行われる儀式や行事のこと。宮中祭祀(きゅうちゅうさいし)のように天皇が行うものや、地域の神社で行われるものなど多岐にわたります。
祭政一致(さいせいいっち)
祭祀と政治が一体化している状態のこと。祭祀者が政治の中心者を兼ねていた古代社会に多く見られました。邪馬台国の卑弥呼や、琉球王国の聞得大君(きこえおおきみ)などが有名です。
注連縄(しめなわ)
神道における神聖な区域を示すための縄。紙垂(しで)と呼ばれる白い紙飾りが付けられています。神社の拝殿や神棚に用いられ、神域と現世を区分する役割や神様が宿るご神体をお守りする役割があります。
儒教(じゅきょう)
紀元前の中国に起源を持つ、孔子を始祖とする思想・信仰の体系。西暦400~500年頃に日本に伝わったとされ、神道にも大きな影響を与えています。
修験道(しゅげんどう)
日本古来の山岳信仰に、仏教や神道の要素が融合した独自の信仰形態。山に籠もって厳しい修行を行うことで神秘的な力を得て、自他の救済を目指すことを主な目的としています。実践者は「修験者(しゅげんじゃ)」や「山伏(やまぶし)」と呼ばれます。
神使(しんし)
神道において、神の使者や眷属とされる特定の動物のこと。神の意志を伝えたり、神と人間との接触を媒介する役割を果たします。神使は一般的に祀られている神様に縁のある動物であり、稲荷神社の狐や春日大社の鹿などが有名です。
神饌(しんせん)
神社や神棚に供える神様のための食事のこと。御饌(みけ)や御贄(みにえ)とも呼ばれ、神様に対するおもてなしとして、米・酒・魚介類・果物・野菜・塩・水などが用いられます。
神道(しんとう)
特定の開祖や教典を持たず、自然や人間の生活に密接に関連した日本独自の信仰体系のこと。森羅万象に神が宿るというアニミズム的な思想に基づいており、八百万の神々を信仰対象としています。
神仏習合(しんぶつしゅうごう)
日本の神道信仰と仏教信仰が融合し、調和した宗教形態のこと。特に平安時代後期に大きく発展し、神道と仏教の教義や実践が互いに影響を与え合う形で形成され、明治時代の神仏分離令まで続きました。
神仏分離(しんぶつぶんり)
明治初期に行われた、神道と仏教を明確に区別することを目的とする宗教政策。神仏習合の慣習を禁止し、神道を国教化するために行われました。神社から仏教的要素が排除され、廃仏毀釈と呼ばれる仏教弾圧の風潮を生みました。
摂社(せっしゃ)
神社の本社に付属し、その祭神と縁の深い神様を祀った神社のこと。摂社は御子神(みこがみ)・荒御魂(あらみたま)・地主神(じぬしがみ)など由緒ある神様を祀ることが多く、末社よりも格式が高いとされています。
遷宮(せんぐう)
神社の本殿を改築または修理する際に、御神体を新しい本殿に移す儀式のこと。神殿を定期的に新しくすることで、神様の力を再生させる重要な意味があります。伊勢神宮において20年ごと、出雲大社において60年ごとに行われる式年遷宮が有名です。
祖霊崇拝(それいすうはい)
亡くなった先祖の霊が、生きている子孫に影響を与えると信じる信仰のこと。日本では弥生時代には自然発生していたと考えられており、神道においても重要な考え方のひとつとなっています。「先祖祭祀(せんぞさいし)」「祖先崇拝(そせんすうはい)」「祖霊信仰(それいしんこう)」とも呼ばれます。
た行
高天原(たかまがはら)
日本神話における神々が住む天上の世界のこと。アマテラスが治めており、古事記や祝詞にその名が登場します。奈良県の「高天ヶ原(たかまがはら)」や茨城県の「高天原(たかまがはら)」など、実在する場所で神話の伝承地と考えられている場所もあります。
玉串(たまぐし)
榊(さかき)の枝に紙垂(しで)を付けて奉納するもの。参拝者や神職が神前に捧げることで、災いから守ってもらえると信じられています。
手水舎(ちょうずや、てみずや)
神社で参拝前に手や口を清めるための場所。参道の入り口や社殿の脇に設置され、水盤(すいばん)と柄杓(ひしゃく)が備えられています。手水舎での清めは、心身を清らかにして神聖な場にふさわしい状態に整える意味があります。
な行
和魂(にぎみたま)
神道における神様の霊魂のひとつ。穏やかで温和な霊力を表し、荒魂(あらみたま)とは対照的に柔和で調和的な性質を持っています。日本の神様は和魂と荒魂のふたつの側面を持ち、和魂はさらに「幸魂(さきみたま)」「奇魂(くしみたま)」に分けられるとされています。
幸魂は人に幸せを与える働き、奇魂は不思議な力によって物事を成就させる働きがあります。
祝詞(のりと)
神道の祭祀において、神職が神様に対して唱える言葉です。祝詞は古体の独特な文体を持ち、言霊の力で罪や穢れを祓うと信じられています。
は行
拝殿(はいでん)
神社の建物群の一部で、参拝者が神様に拝礼するための場所です。通常、本殿の前に位置し、賽銭箱が置かれていることが多いです。
拝殿は神職が祭典を行う場でもあり、参拝者はここで神を拝み祈願を行います。拝殿と本殿は混同されがちですが、本殿が神様を祀るための建物であるのに対し、拝殿は参拝者のための建物です。
祓え(はらえ)
神道における宗教行為で、罪・穢れ・災厄などの不浄を心身から取り除くための神事です。
祓詞(はらえことば)
神道の儀式や祭祀において用いられる神聖な言葉です。神主さんが神事を行う前に唱える祝詞の一種で、日々の生活で私たちが生む罪や穢れを払い、祭儀やお参りを清らかな状態で行うことを目的としています。
本地垂迹(ほんじすいじゃく)
神仏習合思想のひとつ。神道の神々が、仏教における仏や菩薩の仮の姿であるとする考え方。神々が仏の化身として現れることで、両者が共存し信仰が深まることを目指していました。
本殿(ほんでん)
神社の社殿のなかで、御祭神の神霊や御神体を安置するための建物です。正殿(せいでん)や宝殿(ほうでん)とも呼ばれます。本殿は神様のための場所であり、参拝者が直接入ることはできません。
ま行
末社(まっしゃ)
神社において本社に付属し、その支配を受ける小さな社を指します。末社は神社の境内やその周辺に位置し、祭神と縁故の深い神様やその土地で祀られていた神様を祀っていることが多いです。
神酒(みき)
神道において、神様に供えるお酒のことです。神社や神棚にお供えする神饌(しんせん)の一種で、御神酒(おみき)とも呼ばれます。神酒には神様の霊力が宿るとされ、神事の後に参拝者に配られることもあります。日本酒が一般的ですが、他のお酒を用いることも可能です。
巫女(みこ)
神様に仕える女性のこと。神社においては神楽を舞う、神事に奉仕する、神職を補佐するなどの役割を担っています。古代の巫女は祈祷・占い・口寄せなどを行い、神の意志を伝える重要な存在でした。
禊(みそぎ)
神道における重要な儀式で、罪や穢れを水で洗い流し、身体と心を清める行為です。通常、川や海の清らかな水を使って行われ、神聖な状態に戻ることを目的としています。
禊は古くから日本の精神文化の一部として伝わっており、神事に従事する前に行われることが多いです。また、禊は「祓(はらえ)」の一種とされ、身の不浄を取り除くための方法としても知られています。
民間信仰(みんかんしんこう)
特定の教団組織や教理体系を持たず、地域共同体や日常生活に密着した信仰のことを指します。庶民の間で伝承され、多様な形態を持つことが特徴です。「庚申信仰」や「道祖神信仰」などが有名です。
や行
八百万の神(やおよろずのかみ)
日本の神道における多くの神々を指す総称です。「八百」は数が極めて多いこと、「万」はさまざまであることを意味し、自然界のあらゆるものに神が宿るというアニミズム的な信仰に基づいています。
八咫烏(やたがらす)
日本神話に登場する神聖な三本足のカラスで、導きの神として有名です。初代天皇である神武天皇(じんむてんのう)を案内したとされ、太陽の化身ともされています。八咫烏は、天・地・人を象徴する三本の足を持ち、神話や伝説において重要な役割を果たしています。日本サッカー協会のシンボルマークにもなっていますよ。
ら行
例祭(れいさい)
神社で毎年行われる、もっとも重要な祭祀のことです。神社が鎮座した日や祭神の忌日(きじつ)など、特別な由緒のある日に開かれることが多いです。「例大祭(れいたいさい)」と呼ぶこともあり、数年に一度開催している神社もあります。
霊験(れいげん)
神仏が人間の祈願に応じて示す、不思議な力や現象のことを指します。超自然的な力によって、祈願者に利益をもたらすとされています。キリスト教における「奇跡」に似た概念として広く知られています。
わ行
若宮(わかみや)
本宮の祭神の子である御子神(みこがみ)を祭った神社のこと。「若宮」という言葉には、幼少の皇子や皇族の子という意味もあります。
まとめ
神社や神道関連の語句は聞き慣れないものが多く、パッと意味を理解しづらいものもあるかもしれません。いろんな単語の意味を知っていればより神社巡りが楽しくなること間違いありませんよ。
この記事を参考に、より神社を楽しんでみてくださいね。